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西内徹バンド 西内徹DUB

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山口’Gucci’佳宏 (RAKSTONE Records)

昨年、初のソロ・アルバムをリリースし、先日、そのアルバムのダブ・ヴァージョンをアナログLP盤でリリースしたレゲエ界の巨匠 (?!) サクソフォーン奏者、西内徹にダブ・アルバムに関して、そして彼とは旧知の仲なので四方山話を沢山聞いた。

●でも、てっちゃん (自分は、長い付合いの中、「てちゃん」ではなく「てっちゃん」です) との付合いは結構長いけど、こうやってあらたまって二人で話すことは滅多にないですね。

西内徹(以下、西):そうだね、ないっすね。いつもベロベロに酔っている…。

●まぁ、ベロベロ (打ち上げとか) か、前は差し呑み (自分は下戸ですが) をチョイチョイしてたけど、最近はないですよね。それで、てっちゃんとの付合いは、ホント長いですが、今も川上つよしと彼のムードメイカーズに参加してもらっているし、かれこれ25年位の付合いですかね?

西:えー、そんなになるかな?! 確か自分が30歳の時だったから22年前だと思う。

●レゲエ業界での仕事はランキン・タクシーのバック・バンド (※1)、日比谷野外音楽堂でのトゥーツ&ザ・メイタルズの前座で出演したのが最初ですよね?

※1: 当時のランキン・タクシーのバック・バンドとは「佐川&チャッピー・ディジタル・バンド」のこと。佐川修: ドラム・マシーン、チャッピ

●(現チャパ・ランクス): シンセ・ベース、堀口馨 (The K): ギター、西内徹: サックス

西:そうそう、この前、佐川さんと会ったら「パンク・バンドをやろうよ」と言ってました!!

●是非、やって下さいよ (笑)。野音のイヴェントは確かラテン系のイヴェントで、ウィリー・コロンとかも出演していたと記憶します。それで、あのセットで、その後はライヴしましたっけ?

西:4~5回、ライヴしたと思う。後楽園遊園地の野外劇場で戦隊ショーの後にラガ・レンジャーとか言って (笑)。代チョコ (※2) でも演ったんじゃないかな。

※2: 代々木チョコレートシティ (今は亡きライヴ・ハウス)、タクシー・ハイファイのレギュラー・ダンスやヒップ・ホップ系のイヴェントも行われていた。

●そうだ。代チョコはいろんなシンガーやDJが出演したイヴェントでした。それで、そのバンドの前は何かレゲエは演っていましたか?

西:それが、この前、思い出したんだけど、大石 (※3) がやっていたバンドに参加したことがあった。

※2: 大石幸司、リトル・テンポ、ムードメイカーズ等のメンバーであるレゲエ・ドラマー。

●それが22年前、早いですね。

西:早いっすね。あっと言う間でしたねぇ。

●はは、お互いに。そして、その後は VIP とか…?

西:VIP (※3) があって、ドラヘビ (※4)、レゲエ・ディスコ・ロッカーズ、そして現在はクールワイズマンやムードメイカーズなど諸々、ゴチャゴチャとやってます。元VIP のドラマー、今ちゃん (今野=Kang Don) がやってるダブ・バンド、ダッピーズ・バンドとかも。

※3: ボーイ・ケン、HEY-Z、シバヤンキー等が在籍するダンホール・クルーお抱えのバック・バンド。

※4: ドライ&ヘヴィー、七尾 “DRY” 茂大 (ドラムス) と秋本 “HEAVY” 武士 (ベース) が中心となるダブ・レゲエ・ユニット。

●まぁ、そんな昔話はさて置き、最近はソロ・アルバム、そのリリースのいきさつはどんな感じだったんでしょうか? 5年程前にも、そんな話をしていたでしょ。

西:前はいっぱいゲストを呼んでと言う感じの話だったじゃないすか。でもファーストだし、インストで勝負したいな、と思って。

●で、やっぱりレゲエだと。

西:うん、レゲエしか出来ないし、レゲエの仲間しか居ないし。それで周りのメンツを誘って。

●何かメンバーにこだわりはあったのですか? これはこの人だ、的な。それとも自然の流れで?!

西:いや、やっぱり自然の流れでメンバーが決まったんだよね。

●それで、今回のダブ・アルバムのリリースとなる訳だけど、他のインタビューを読んだのですが、当初はダブ・アルバムのリリースは見据えてなかったらしいじゃないですか。

西:プロデューサーの意向もあって、それではリリースしようかと。

●録音は内田くん (※5) だし、もちろんダブ・ミックスも内田くんと言う自然の流れですよね。それで、出来上がり聴いてみてどう思いましたか?

※5: 内田直之、日本でダブを作らせたら右に出る者は居ないと言っても過言ではない程、唯一無二のエンヂニア。ドライ&ヘヴィーやリトル・テンポ、クールワイズマン等を手懸ける。

西:そうね。聴いてみて、やまん (※6) な感じでした (笑)。

※6: 西内徹考案の「ナイス」、「イイ感じ」、「大丈夫」など、良いフィーリングを表す便利な言葉。

●具体的には?

西:今の処、アナログ盤のリリースでアナログで出せて嬉しい。ファースト (※7) と並べてみた時にイイなぁ、と。

※7: ファースト・アルバムの方もアナログ盤でリリース済。

●それ、何かジャマイカ的な感じで、作っている側として冥利に尽きるんじゃないですか? 改めて、そう言われると2枚が揃うのは凄くイイですね。

西:そうですね。

●ダブを作る時に内田くんへのリクエスト、希望はあったのですか?

西:いや、お任せで、好きにやって下さい、まぁ、より踊りやすくはして欲しいな、と。

●そうか。実際、自分も聴いてみて、ダブにもいろいろなタイプがあると思いますが、チルアウトな感じではなく、とてもダンサブルに感じました。重たい感じではなく、楽しく思えました。その点は、出来てみて良かったと?

西:うん、良かった!!

●今まで内田くんの手懸けたダブを聴いて来ましたが、その中でもとりわけ、シンプルに感じました。元曲がシムプルだからかもしれませんが、とてもソリッドだと思います。このダブ・アルバムの中で、お気に入りのミックス曲はありますか?

西:”You Wondering Now” とか。

●ああ、自分も。何だかリム・ショットとベースの音の処理がメチャメチャ変ですよね (笑)。好きです。

西:あのニューウェーヴ感と言うか、昔のラフ・トレード (※8) のコンピに入っていても良さそうな感じがイイんだよね。

※8: UKに於いて80年代台頭していたレコード・レーベル。主にパンク、ニューウェーヴのコアな音源をリリース。デニス・ボーヴェルやエイドリアン・シャーウッドもエンヂニアとして参加していた。

●ホント、自分もそう思いました。イイですよね。こんな流れで、ちょっと聞いてしまいますが、てっちゃんはずっとパンク、ニューウェーヴを聞いてるじゃないですか。自分もそうで、レゲエ業界、そっち出身の人も多いですが、その辺が今のてっちゃんのレゲエに影響してますか?

西:そうすね。何でもあり感って言うか、何でもありにしたいなぁ、と言う感じが一緒。これをやっちゃうとレゲエじゃなくなっちゃうから、みたいな考え方をしたくない。

●そう言われてみれば、レゲエって言うのも本来、そう言う音楽ですよね。ジャマイカ人が思った様に演っている音楽ですから。あと、何かパンクやレゲエに共通するメッセージ的な意味合いに影響されたってことはないですか?

西:ないです。自分にはメッセージはないっすね。

●まぁ、そうっすよね。そこまで、ちゃんとパンクやレゲエのメッセージを理解出来ないですもんね。それで、今でもよく聴いているパンク・バンドは?

西:う~ん、ダムド、バズコックス、セックス・ピストルズとか。

●レゲエはやっぱりパンクからの流れで聴き始めたんですよね?

西:そう。ポップ・グループやスリッツ、ON-Uのエイドリアン・シャーウッドやデニス・ボーヴェルからかな。

●当時はあまり分からなかったけど、ニューウェーヴのバンドとかってアルバムに何曲かレゲエ・テイストの曲を収録していたりして、それだけレゲエの影響力が凄かったんだ、と今は感じます。それで、てっちゃんの演奏スタイルとか音とか、やっぱりパンクっぽいなぁ、と思います。さっき言っていた、捕われないやっちゃえ感とか。

西:そうすか。

●自分はてっちゃんはある意味、天才肌だと思うんですよ、ホントに。そして天才肌なのに努力家でもあると思うんですね。

西:(笑) えー、どっちも違いますねー。才能はないし、そんなに努力もしてないっす。努力している人は一日12時間ぐらい練習しているんではないでしょうか。

●それはそうですが、ベクトルは違えど、てっちゃんはかなり努力していると思います。常に前向きでアグレッシヴだし。そう思いませんか?

西:そうですか?! 自分では全然、そうは思わないです。凄く怠けていると思います。

●まぁ、あとは実践ですかね?

西:そうですね、何だかんだ場数って言うのは必要ですよね。

●それが、出来る人と出来ない人が居ると思うんですよ。上手い下手は関係なくて、そこに踏み込めるか否か、さっき言っていた、とにかくやっちゃえ、みたいな。そんな人は最近はあまり居ないと思うんで、そこがてっちゃんは凄いのではないでしょうか。それで、ちゃんと形にしてしまう処が天才肌だと思うのです。でも、練習してるでしょ? 多摩川土手とかで。

西:まぁ、基本的なことはやってますけど、でも、それを始めたのは40過ぎてからです。

●40だったら、10年ちょっと前、つい最近のことじゃないですか。それは何でまた?

西:師匠である生活向上委員会 (※9) の原田依幸さんに言われたんです。その頃、一緒にバンドを始めて、全否定されて、「やめちまえぐらいなことを言われて、その時、初めてちゃんとやろう、と思ったんだ。

※9: 70年代終りから80年代初頭に活動したジャズ系大楽団。ジャズ界の大御所サックス奏者、梅津和時氏を始め、実力派のミュージシャンが多数在籍していた。

●じゃあ、それまでは無鉄砲なだけだった?!

西:うん。もっと前からしっかりやっておけばよかった、と思いました。

●でも、そんなこと、楽器に限らず、歳を取って経てから分かることじゃないですか。もうすぐ、52歳でこのスタンスは素晴らしいです。

西:うーん、モテたいですよね、52になっても (笑)。

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