Text & Photo by Shizuo Ishii
どうやらAckee & SaltfishがジャマイカのあっちこっちのフェスやLiveで大ウケらしい。実は20年以上前に初めて彼らに出会ったのもここキングストンだった。その時も既に島では話題の主だったが、さて今回は?
●去年も一度来てるんだよね? 今回のジャマイカはいつから来ているの?
Saltfish(以下、S):今回は14年末の12月4日に着いたんです。
Ackee (以下、A):今回の前が2014年の1月に来たんですよ。僕たちは長いことジャマイカを留守にしていました。
S:去年来た時Rebel Saluteに出たんです。
●それはYouTubeで見たよ。あのQueen IfricaとのRebel Saluteはどういう繋がりだったの。
A:Kingston Dub Clubに遊びに行ったらQueen Ifricaがいて「覚えてる?」「久しぶりです」みたいな感じから。
S:「Rebel Saluteに行くんでしょ?」って言われて「いや、そんな予定は無いしチケットも無い」って言ったら、「チケットなんかいらないから、電話かけてきなさい」みたいな感じで。アーティスト・パスを貰って、車から全部セットしてくれて。(メジャー)マックレルと話しとって「だったら遠く離れた日本から来たんだから1曲ちょっと歌わせてもらえませんかってQueen Ifricaに頭下げてこいよ」って言われて。「だったら私の近くにいなさい。私の時間を特別にあげるから」って会場で言われて、彼女がステージに呼んでくれて「日本人のAckee & Saltfishよ、みなさん聴いて! なんでAckee & Saltfishっていうか不思議でしょ、彼らが出るよ」って言って紹介してもらって。で、歌ってウケて「あ〜、良かった良かった」って。
A:あれが凄い宣伝効果ありましたよ。
●ウケてたね。
A:途中で引き上げても良かったくらいウケてましたね。押し切っちゃいましたけど。
S:あれ「Jamaican Gal pickney」ですからね、マックレルと作った。
A:その時に「Go to Thru」にするか「Jamaican Gal pickney」にするかどっちかみたいなのがあって。
S:実は振りがあったんですよ、Queen Ifricaの曲「straight」って分ります? 要するに性のstraight man、ああもうその振りからいったら「Go Thru」よりもギャルネタだなっていうことで、「僕たちは日本から来たけどstraight manだからジャマイカのstraight womanが好きなんです」って言ってそれで「Jamaican Gal Pickney」。
●それで、つかんで。
S:その最初の喋りこそが客をつかむ為には凄く大事で、落語じゃないけど枕があって。
A:でもあれは本当に感謝してます。その時に5ヶ月間位いたのかな。
●そして今回また来て、それはStings出演が目的で?出るのはもう決まってたの?
S:うん、決まってた。
●では去年来たきっかけとか目的っていうのは何だったわけ。割と長く来ようと思ったわけでしょう。
A:僕Ackeeの意見で、Saltfishの意見は別として、日本で色んなアルバムを出して結構政治的なアルバムも出して色んな事をやったので、いっぺん原点回帰じゃないですけど、レゲエを知ったジャマイカに戻ってもういっぺんやれる事をやってみたいなっていうのが最初の目的ですかね。ひねくれた事はなんもなく、日本ではある程度やったし、それはちょっと置いておいてジャマイカでやってみようかなっていう、そういった感じです。
S:僕たちがやれる事をやる。これだけ間を空けてたからどうかなと思いましたよ。
●俺がアキ・ソルと最初に会ったのって1991年だったかな?その頃は俺もShabba Ranksのコンサートを日本でやったりしていて、それでプロデューサーのスペシャリスト(C. Dilon)が言ってたんだよ。あいつらどう思うか?たしか声がかかってたんだよね。マネージメントしようと。
A:はい、かかってました。
S:サインしたよ。
●えっ、したのかアレ。
A:だけど世界的なことでね、ちょっとなんか色々ややこしい契約で、どうしようかなと思って止めました。
S:やっときゃ良かったかな。
●やったら面白かったね。見たかったな。
S:うんうん。
●実は急に一昨日セント・アンまでRebel Saluteを見に行ってきたんだ。アルボロジーのクルーのバスの後について行ってパスもらってたから、プロデューサーのSP(スペシャリスト)にも会ったよ。
あの当時、彼がやってたShabba、リッチー・スティーブンス、パトラ、コブラ、バウンティ・キラ、その全員のショーを次々に俺は日本でやったからね。
A:じゃあ繋がり長いですね。
●だからまあ、付かず離れず20年以上かな。俺はRebel Saluteにレンタカーで、SPは目立たない乗用車で、バンドはバスで行ってゲートの前で待ち合わせしたんだよ。余分な話しだから後はカットするけどさ。
S:そのスペシャリストはねWackiesのブルワッキーの息子さんのレノックスっていう人がブロンクスでナオキ(Nahki)君とかスーパー・キャットとかシャインヘッドとかが着てたリネンのスーツのお店をやっていて、その友達がスペシャリストなんだけど、そのレノックスをサブ(ソニー落合)さんから紹介してもらって、僕たちがその洋服屋でバイトしとって。
僕たちはアイロンかけたり、ボタン直したりサイズ直ししたりしておった時にスペシャリストが来て「あれ、こいつらレゲエやってるAckee & Saltfishだ、こいつら押さえるべきだ、ちょっとサインしろ」って言われて連れて行かれて。
S:マンハッタンのSONY(Music)の一番上の階まで挨拶に連れて行かれて、そこで歌わされて、下に丁度シャバの事務所(Shang)があって。
A:「お前、歳いくつじゃい」って、23、24だっけ?
S:25歳くらいだったかな、23階で止まったから「とりあえず23歳って言え」って。
●アハハ、彼は他人と違う発想とコネクションを持ってるやつだから面白い。
A:ちょっと違うんですよね動きが、本当に。
S:最初会った時に「ちょっとDee Jayやってみろ」って、やったら「スーパー・キャットはもうやめろ、その歌い方もやめろ、これにしろ」って言って。
A:ケツを繋ぐ韻の踏み方をしてたんですよけど「逆でできるか?」って回転がもの凄い速いんですよ。
S:日本人だから僕たちが直接行くって言ったら「ダメだ、お前らが直接話しをしたら俺が出る立場が無くなるから、それはダメだ」って言われて一緒に行って、その担当の前で俺たちが歌って、それでその後サインしてっていう話しですよ。
その時はマンハッタンのShangレコードの事務所だったね。
●それはShabbaで大成功した後だよね。俺がSPから聞いたのはそのずっと前だったはず。
S:たしか成功した後でShangのマンハッタンの事務所にバウンティ・キラの写真があって。
A:こいつが今からジャマイカで凄い事になるぞって言ってた。
S: その事務所から一緒にSONYの本社ビルに行くんだけど、その前に「ちょっとついてこい」ってダウンタウンに行って「この服着ろ」って、上から下まで、靴から鞄まで揃えてもらって、「よし行くぞ」って、それでSONYのあの事務所に挨拶しに行ったの。
A:凄かったですよ。これでひっかかったんだな、みんなは、と思いながら。
●いやもうShabbaだってベンツ買ってもらってた気がするね、あれがギャラなんだろうなって想像してたよ。そこ(ニューキングストン)のタワーに事務所があって、俺も最初はShabbaとコンサートの契約するのも手探りですっごい大変だった。電話して直接行くんだけど、段々分ってきたら、“バブジ“グリンジっていう女性で大臣やったりなんかする大物も関係してるわけ。
A:はいはい。
●だから俺、SPとバブジの家も行った事あるよ。何度もやってるうちにバブジも俺には、途中からちゃんと対応してくれたけど。